つまらないこと - 憂鬱と怠惰
精神状態を薬でコントロールするようになって早三年が経つ。もはや抵抗も違和感もない。感覚的には眼鏡と似ている。ほとんど身体の一部だ。
数ミリグラムの物質で感情がいとも容易く変わることが始めは耐え難かった。自分は所詮物質で、精神なんて肉体に付随するただの一機能に過ぎないと突き付けられているようだった。今はそれにも慣れてほとんど意識しなくなったけれど、飲み忘れで離脱症状が起きた時にはその感覚を思い出して落ち込む。考えないようにしているだけで受け入れられてはないのだなあ、と他人事のように思う。
しかしやはり普段はそんなことはほとんど忘れていて、問題は別にある。憂鬱と怠惰が区別できないのだ。これは長年私にとって重大な問題であり続けている。幸い人間関係にはそれなりに恵まれていて、他人にとやかく言われることはない。むしろ「つらいときは休んでね」「頑張らなくても大丈夫だよ」と優しく言ってくれる。
でも頑張りたくない、と頑張れないの境界が分からない。
「根が怠惰だからこれもどうせただの怠慢だろう」と思うけれど頭痛や倦怠感があるので「もしかしてこれが頑張れない状態なのか?」と思い、「しかしそういう状態は昔からあるのだからやはり今はただの怠慢だ、だけど…」とぐるぐる考える。もちろん結論は出ない。これがずっと続いている。
結局は憂鬱だろうが怠惰だろうが構わず頑張らなくては生きていけない場所にいる。こんなことに悩み続けるのはあまりに不毛だ。死ねない限り生きているしかない。憂鬱と怠惰の間であーあ、とため息をつく。