茫漠

意味のないこと

他者と関わり合うために

誰とどう関係するかは、自分で選んでいたい。

例えば、家族関係には選択の余地がない。とりわけ、子供にとっては。生まれた瞬間から親は決まっていて、簡単には逃れられない。鎖のように絡みついて、互いを縛りつづける。愛情は、必ずしも居心地の良さを生むわけではない。

けれども、友達や恋人なら選ぶことができる。どんな相手と、どんな関係性でいるのか。「相手が選んでくれる限り」という重い条件はあるけれど、家族よりは柔軟に関係性を選択できる。

それは素敵なことだと思う。しかし、関わり続けることは、途方もない努力を要する。関係の本質は、関わり合おうとする互いの弛まぬ努力にある。相手を一つの人格として尊重し、敬意を払う努力。相手の感情の機微に注意を払い、労わろうとする努力。取るに足らない一言一言を積み重ねて、関係性は維持される。関わり合うということは、多分そういうことの蓄積だ。気が遠くなるほど、途方もない努力。

それを私はできるだろうか。